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実は海面下にある東京ゼロメートル地帯
東京都東部の主に5区にあるゼロメートル地帯というのをご存知ですか?ゼロメートルとは、海抜ゼロメートル以下であることを示す土地の事で、その名の通り海面より低い土地のことをいいます。
実は、江東5区とも称される、江東区、墨田区、江戸川区、葛飾区、足立区には、干潮時でも海面より1mも低く、満潮時には海面下3mに達するエリアが存在します。しかもかなりの面積で。厳密には台東区や荒川区などにも満潮時よりは低くなりそうな危険地帯はあるのですが、現在この5区が最も注目されています。
高い堤防に囲まれた東京東部
この江東5区は東京湾や隅田川、荒川、江戸川と海や河川に囲まれた土地で、それぞれの河川の堤防は高く造られ、東京湾に面した土地は埋め立ての際に高く造られていて、水の浸入を防ぐことで保たれている土地なのです。
最初から低い土地だったのか?
でも、埋め立て地は新しい土地としても、海に面している江東区や江戸川区のエリアにしても、その大部分は徳川家康が江戸に入った頃から400年も続いている土地で、その昔は高い堤防など無かったのに、なぜ今になってゼロメートル地帯と呼ばれ注意喚起されているのでしょうか?
そこに疑問を持ち調べてみました。
東京東部では地盤沈下が進んでいる!
東京都江東区南砂町に地盤沈下観測所という施設があります。
Googleマップ:東京都南砂町 地盤沈下観測所
そのそばにポール(下の写真を参照)が建てられているのですが、そこで恐ろしいことがわかります。
ポールに取り付けられた [1]~[7] のリングについて説明します。
[1] 地上1メートル、干潮時の海面の高さ。つまり干潮時でもこの場所は海面より1m低いということ。
[2] 平均海面の水位。
[3] 満潮時の海面の高さ。つまり満潮時にこの場所は海面より3mも低くなります。
[4] 1918(大正7)年の地盤の高さ。つまりこの場所は100年で3m以上低くなった。
[5] 1949(昭和24)年の台風による高潮の高さ。
[6] 1917(大正6)年の台風による高潮の高さ。
[7] 地上約7メートルで現在の堤防の高さ。言い換えれば、万一荒川の堤防が決壊すれば、ここまで水に浸かる可能性がある。
ここで驚いたのは[4]のリングの説明で、つまり江戸時代、少なくとも100年以上前までは、この場所も満潮時の海面より高かったのです。
江東区だけじゃない5区に広がるゼロメートル地帯
この記事のタイトル画像は「江東5区大規模水害ハザードマップ 」というもので、地図中の濃い赤の部分はいずれもこのポールの建ってる場所と同等の高さ(低さ)と言えるのです。
荒川に沿うようにして、かなりの広範囲で地盤沈下が進んでいることがわかります。荒川は元々「荒川放水路」と呼ばれた水害を防ぐために作られた放水路で、地図を見ると東京の低地に沿って造られたのだとわかります。
普段意識したことが無かっただけに、調べてみて大変驚いています。
自治体による安全対策
心配は心配ですが、それに対する安全対策として、東京湾に面した広い埋め立て地や河川の堤防は、過去に発生した高潮より高く造られています。また、東京の地下には巨大な貯水槽が造られ、万一の大雨や洪水に備えて整備されています。2重3重の案税対策が施されていますので、まずは一安心してください。
想定外の大規模水害の際は行政の広報に注目!
ただ、想定を超える大規模水害が発生してしまった時は、万が一、堤防の一部でも決壊してしまった時は、地図の赤い部分に水が侵入してくる可能性が無くなる訳ではありません。
このエリアに住んでいる方は、海面より低い場所に住んでいるという自覚を持って、万一の災害に備え、行政からの注意喚起には積極的に耳を傾ける必要がある事を、今一度再確認してください。
最後に、大規模水害ハザードマップと行政からの注意喚起書を掲載します。