編集部員ヒョウドウが船橋の人にインタビューする「ヒョウドウくんが行く」の第2弾。
今回は、京成船橋駅西口から徒歩1分、船橋ツウの間で有名な四川火鍋の専門店「みやま」さんに伺いました。
店主の宮間利男さん、繁盛までには並大抵ではないご苦労があったようです。
Q.以前は中華料理のお店を経営されていました。四川火鍋の専門店にリニューアルしたのはなぜですか?
A.
火鍋一本なら、女房と私の2人でできるんです。
他に料理人も、ホールのスタッフもいなくて大丈夫。
鍋さえ完璧に作っておけば、後はお客様が料理してくれると。
その代わり、鍋の味は試行錯誤しましたよ。
たとえば、中華料理店で他の料理の後に食べる〆のラーメンと、ラーメン専門店のラーメンでは役割が違います。
中華料理のラーメンに特別なインパクトはなくてよいかもしれません。
しかし、専門店は、一杯でお客様を満足させなければなりません。
おいしいお店は、「ガツン」と印象に残る味ですよね。
それまでも火鍋は出していましたが、料理の〆にとかスープ代わりの
サイドメニューでした。専門店にするからには、同じものではいけない。
もっと、コクとうまみを出さないと、火鍋だけを目当てに来る人を、満足させられないと思ったんです。
お客様の声も聞いて、改良に改良を重ねました。
ポイントは、四川花椒の実。
以前は、刺激が強すぎるので入れるのをためらったり、パウダーを使ったり、と使いあぐねていました。
けれど、中国の方にアドバイスをいただいて試してみると、思いの外うまくいきました。
唐辛子だけで辛さを出そうとすると、どうしてもノドにひっかかる感覚があります。
四川花椒はパンチこそ強烈ですが、口に含むと一瞬スッとします。
うまく唐辛子と一緒に使うと、スパイシーでありながら食べやすい鍋になることがわかったんです。
四川花椒に加え、20種類以上の漢方で、インパクトのあるコクとうまみを出すことにも成功しました。
身体にもいいですよ、お腹のものがズドンと出ますから。
Q.火鍋一本で「イケる」と思ったのは、どんなタイミングだったのですか?
A.
中国人のお客様が「おいしい」と言ってくれるようになって、ようやく良い火鍋が作れているのかと。
とはいえ、今でも満足はしてませんね。
もちろん、今日来るお客様には、今日の私ができる限りの完璧な火鍋をお出しします。
けれど、明日の火鍋はもっとおいしくなります。
素材の分量や、料理のタイミング、火加減など毎日変えています。
そうでなければ、お客様が満足するものは作り続けられません。
Q.ストイックな宮間さんのモチベーションはどこから来ているのですか?
A.
経営していた四川料理店が思った通りにいかず、2011年の震災のときには「やめるしかないか」という所まで追い詰められました。
ただ、他に行く場所もないし、借金も返さなければ行けません。自己破産という手も考えましたが、どうしてもあきらめきれなかった。
「もう一回、もう一回チャンスをくれ」と女房に頼みました。
そこで、四川火鍋の専門店にしたんです。
金がなくなってカードは止められました。
身近にいた人も離れていったのですが、それがぼくの闘志に火をつけました。
負けず嫌いなところがあるんでしょう。「いつか見てろよ」と。
そのころの感情といえば、悔しさや憎しみしかありませんでしたよ(笑)。
いまでこそ前向きな気持ちで人に会えますが、当時は人から認めてもらえず、「その言葉忘れるなよ」と心のなかでメラメラと。
いまだって必死です。女房は先のことを考えてくれますが、私はその日の営業のことで一生懸命。
身体はキツイですね。毎週マッサージしてもらわないと、肩が上がらなくなってしまうことも。
今だに、切羽詰まった気持ちで働いています。
Q.最近はリフレッシュのためにお休みを取られるようになりましたが、家では何を?
A.
何にもしていないです。
店では全力を出し切っているので、家ではスイッチをOFFにしてしまいます。
コーヒーを飲もうと思っても、どこにあるかわからない(笑)。
テレビは、好きな相撲だけ観てます。ニュースも観ないので、世の中で何が起きているかも今ひとつ・・・・・・。
家では醤油をこぼしてもそのまんま。店では、ちょっとした汚れが気になるんですけどね。
お風呂から身体を拭かないで出てきても、なんとも思いません(笑)。
Q.さっぱりとしたボウズがいつもステキですが、昔はもじゃもじゃの髪型でしたよね?
A.
あれ、ちがうんです。
お客様が来なくて、みんな暗くなっていたときに、笑わせようと思って100円ショップで買ってきたカツラなんです。
ボウズにしているのは、髪の毛が料理に入らないようにするためですが、似合ってません?
Q.あ、はい、とても。笑 でも、マユ毛まで剃っていたこともありましたよね?笑
A.
テレビの取材用に剃っちゃったんです。
テレビに出ると、お客様が殺到して常連さんの予約が取れなくなってしまいます。
まゆ毛を剃れば、「こんなやつの店に行きたくない」と思われるかと・・・・・・。
Q.なかなか斬新なアイデアですね(笑)。
でも、ちょ~とだけつっこませてもらいますね!
僕とツイッターでやり取りしてた3年半前くらいはガンガン毒を吐いてましたが最近は丸くなられたんじゃないかな、と僕は思っていますが、それでも宮間さんをよく言わない人もいるのではないですか?
A.
いると思います。笑
ただ最近は雑音が耳に入らなくなってきました。
店がヒマなときは、ひがみも出るのが人間というもの。
気に障るウワサや陰口にいちいち反応していたかもしれません。
今は、そんなことができないくらい、店を回すので精一杯です。
それと他人の悪口も最近は入ってきませんね。
私自身、陰口が嫌いなので言わないんです。
すると、周りの人も私に言ってこなくなる。
「宮間さんに話しても同調しないんだ」と。
Q.では最後に、船橋の良い所を世界に向けて発信してください!
A.
船橋に来て8年になりますが、最初はこの町がすごく嫌いでした。
女房も「東京帰ろう」と泣いていたし。
そんなあるとき、他所のお店に入って、中に溶け込むように努力してみたんです。そこからですよ。居心地よくなったのは。船橋は、自分から町の人に話しかけ、歩み寄って溶け込まないと。
グループで固まってるので、外からはムラ社会に見えることもありますけど、入ってしまえばちゃんと居場所を提供してくれますね。
それからは、もう他の町は行けない、と思うようになりました。
宮間利男さん 1968年3月31日生まれ
東京都中野区出身
四川火鍋専門店 みやま 船橋市本町1-11-27 時田ビル1F
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