2016年、梅雨入り前からささやかれていた「関東地方の水不足」がいよいよ現実となってきています。
水不足になると飲み水、家事炊事で使う水はもちろん、学校のプールや公園の噴水などの他、農作物の育成や工場製品などにも多大な影響を及ぼしてしまいます。
水不足は何故起こってしまうのでしょうか?水不足になる条件や水不足における影響などについて調べてみました。
目次
関東地方が水不足になる条件とは
茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京の6都県では、水源を8つのダムでまかなっています。
8つのダムは、矢木沢ダム、奈良俣ダム、藤原ダム、相俣ダム、薗原ダム、下久保ダム、草木ダム、渡良瀬貯水池ですべて利根川上流にあり、ひとくくりに利根川水系ダムと言われています。
ダムにある水は貯水率で管理されていますが、今年はこれら利根川水系のダムの貯水率が例年と比べて著しく低下しているとの事なのです。その理由として以下の原因が挙げられます。
■雪不足
2016年の冬季は暖冬の影響により雪が少なく、利根川水系ダム周辺も例外ではありませんでした。
利根川水系8ダムのある地域は関東地方の中でも豪雪地帯となっており、ダムは雪解け水の水量も当て込んでいるため、雪が少なければそれだけ蓄える水も少なくなってしまうのです。
冬が過ぎ去ってしまうと雪分の水はこれ以上増える事はないのでその時点でマイナスからのスタートです。
■雨不足
雨が少なくても水は減ります。雪不足だった分を雨で補いたいところですが、ゲリラ豪雨は水源地に降る事はなく、梅雨前でもまとまった雨が降らないまま梅雨に突入してしまいました。
このような条件が重なり通常だとこの時期には平均で85.6%は貯めておかないといけない貯水率が2016年6月現在で50%以下しかないと発表されています。
例えば台風が一つ来たとしてもすぐに貯水率の回復に繋がらないくらい、深刻な水不足となっているのが現状です。
水不足になるとどうなるのか
水不足と聞くと、家庭の蛇口が思い浮かんでしまいますが、ダムの水は家庭で使用する「水道用水」、農業のために使う「農業用水」、工場などで使う「工業用水」に使用が分類されています。
ダムの水が不足するとなると、家庭用の水ばかりではなく、農業用水や工業用水の心配も出てくるのです。
貯水率が減ってくると、これまで通りの水量を使うわけには行かなくなってくるため水道局の方で制限がかかってきます。
まずは取水量を減らす「取水制限」からはじまり、これでも足りなくなってくると「給水制限」がはじまります。
「取水制限」は工業用水や農業用水から制限がかかり、10%、20%と段階的に増えて行き、水を使う側も水圧が低くなったなぐらいしか感じない程ですが「給水制限」となると話は違います。
給水制限は家庭への水の供給を制限することで、一番分かりやすい方法が「断水」です。一定時間水道を止める事により使用量を制限します。
家庭用の水とは言いますが、商用も含むため飲食業などに影響がダイレクトに出てしまいます。2016年度はすでに取水制限が始まっているそうですが、暑くなるにつれ断水などにならない事を祈るばかりです。
■節水を心がけよう
水不足の時に自分たちが出来ることは何でしょうか?
思わず空をにらんで雨乞いをしてしまいそうになりますが、ここはやはり地道に「節水」を心がける事がベストです。必要以外に水を出さない、使いすぎない事を意識することで、水不足解消を願いましょう。
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