水不足・ダム渇水時の「取水制限」と「給水制限」の違いとは

水不足・ダム渇水時の「取水制限」と「給水制限」の違いとは

関東地方の水不足問題が毎日のように取り上げられるようになり、ここへきて「取水制限」という言葉も出てきています。「制限」と聞くと穏やかでない雰囲気を感じてしまい、水が出なくなるのかと心配する人もいるようです。

そんな人たちの為に渇水時に出てくる用語の「取水制限」や「給水制限」についてご説明しましょう。

目次

取水制限とは

「取水制限」とは川から取水する量を制限する事です。ダムの貯水率に合わせて10%からスタートしますが、10%の取水制限だと家庭の水道水の勢いが少し弱まる程度の影響と言われています。

今回、関東地方の利根川水系ダムにかけられた取水制限は「渇水対策連絡協議会」が取りきめて実施します。

渇水対策連絡協議会とは、国土交通省関東地方整備局と利根川水系ダムに関わる東京、埼玉、千葉、茨城、群馬、栃木の6都県の水道局関係者によって集められた協議会で、何かと法律上や使用許可のややこしい「水」に関する権利をスムーズにするために存在します。

梅雨時期の降雨に期待しながら、とりあえずは取る水の量を調整して様子を見るのが「取水制限」というわけです。

給水制限とは

渇水対策は「取水制限」から「給水制限」となると事態は深刻です。

給水制限は各家庭に配布する水の量を「制限」して水の使用量を減らす事を目的としています。簡単に言うと家庭の蛇口から水が出ないようにする制限してしまうのです。

給水制限は主に自治体の水道事業者が実施を決定しますが、地下水や井戸水などを使っている所もある上、場所によっては水需要も変わってくるのではっきりとした基準が設けられていません。

初めに蛇口から出る水の量を少なくする「減圧給水」から始まり、水不足が続く場合は「時間給水」に移行します。いわゆる「断水」と呼ばれるもので、一定の時間を決めて水道を止めてしまう方法です。

それでもまだ水が減っていく場合の最終手段は、完全に水道を止め、給水車を使って一人頭の一日分の水量を制限する事になります。

ダムの水が減り続けると言う事は真夏に断水という恐怖も想定しないといけないのです。

過去に渇水になった事は?

取水制限や給水制限のように、渇水に合わせた蛇口の調節システムは過去の渇水の経験などが生かされています。過去にあった渇水にはどのような事例があるのでしょうか?

関東地方での歴史的な渇水は1964年の「オリンピック渇水」が有名です。この年は最大50%の給水制限があり、その期間は7月~10月までの513日間だったと記録されています。

1994年には日本全国で渇水状態となり、6週間にわたり最大15%の給水制限がありました。その時の利根川水系のダムの貯水量は60%。

実は今年、2016年の6月は全国的渇水のあった1994年6月の60%よりも大幅に下回っているのです。

このままでは取水制限どころか給水制限も覚悟しなければならない勢いですが、まだ7月や8月の雨が期待できないわけでもありません。運を天任せにするしかない状況にしろ普段から水を大切にし、節水を心がけるようにしておきましょう

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