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日本酒とは?
日本酒ってなんでしょうね?米と米麹と水から造る醸造酒、それが日本酒だと、 私は長い間そう思っていました。でも、どうやら少し違っていたようです。
後述しますが、日本酒の定義は有って無いようなものだったのです。
※「日本酒とは、国産米、国産麹を使用し国内で醸造されたもの。」という地理的表示の規定は有る事は有りますが、これは国際的に日本酒を名乗れるか否かが主な目的で、製造方法としての日本酒の定義として良いものか、私は甚だ疑問です。
日本酒のラベルを見てみましょう。「米、米麹」と書いてあるのと「米、米麹、醸造アルコール」と書いてあるのと2種類ある事に気がつきます。米と米麹と水から造る醸造酒としての日本酒と、それに醸造アルコールを加えた日本酒の2種類あるのです。
醸造アルコール
醸造アルコールとは、簡単に言ってしまえば「食用にもちいられるエタノール」のことで、穀物などから得られるでんぷん質や糖質などを発酵させて造られた酒(アルコール)を蒸留し、蒸留を繰り返す事で濃度(度数)を高めたアルコールのことを言います。
居酒屋などで出されるレモンハイやサワーの原料となっている甲類焼酎は、その醸造アルコールに加水してアルコール度数を調整したものです。
消毒にもちいられるアルコールは、主に燃料として使われる危険なメタノールではなく70度~85度に調整されたエタノールが用いられるので、飲用には適しませんが醸造アルコールと同類です。※飲まないように。
清酒の定義
日本のお酒は酒税法という税法で定められていて、その製造方法を定めるものではありません。そして一般的に皆さんが日本酒と呼んでいるお酒は、法律上は「清酒」とされています。
清酒とは、「米、米麹及び水を原料として発酵させ・・・(以下省略)」と、一応その原材料や製法に触れていますが、
ところが、清酒の原料という項目には「麦、あわ、とうもろこし、こうりゃん、きび、ひえ若しくはでんぷん又はこれらの麹」とあり、「法第三条第五号の規定に該当する酒類でアルコール分が36度以上45度以下のものを含む、しょうちゅう、ブドウ糖、水あめ、有機酸、アミノ酸塩又は清酒(概略)」とあり、つまり、一定量までの規定はありますが、醸造アルコール(つまり甲類焼酎と同じアルコール)を加えても清酒として扱われるという曖昧なものだったのです。
つまり、米、米麹から造られた醸造酒に、様々な原材料から造られた醸造アルコールを混ぜても、その混合率やアルコール度数が規定を下回っていれば清酒(通称日本酒)として扱われるのです。
醸造アルコールの原材料と経路
醸造アルコールの原材料には上でも書きましたが、麦、あわ、とうもろこし、こうりゃん、きび、ひえ若しくはでんぷんと多岐に渡りますが、実情としてはサトウキビから砂糖を作る際の副産物である廃糖蜜が使われることが殆どと言って過言ではありません。そしてその多くが輸入されています。
醸造アルコールを混ぜても日本酒?
実は、米と米麹を発酵させて作られたお酒に醸造アルコールを添加してしまうと、本来なら清酒ではなく「混成酒」という扱いになります。よく缶酎ハイやサワー系のお酒のラベルに書かれている「リキュール」も混成酒の一種です。
ところが、本来なら混成酒とされるお酒でも、米と米麹から造られた清酒に一定以下の割合で、且つ規定以下のアルコール度数であれば清酒として扱えるようになっています。酒税法では。
なんだかご都合主義のようですが、そうなった経緯もあります。
日本酒に焼酎を混ぜるようになった歴史
江戸時代にまで遡りますが、お酒の衛生管理が不十分だった時代には、清酒を腐敗させる原因菌の増殖を抑える効果があり、そうした目的で用いられ始めたものが、本来甘口である日本酒の飲み口がスッキリするなどの理由で、人によってはアルコール添加の日本酒の方が好まれたようです。
ただ、衛生管理が行き届いている現在では、原因菌の増殖を抑える目的は薄れ、専ら味の調整や増量目的で用いられることが殆どになっています。
三倍醸造や嵩増し、桶買い
戦後から高度経済成長期にかけて、とにかく安いお酒をたくさん提供するために三倍醸造など嵩増しされたお酒が広まった日本酒の黒歴史もあります。
また現在でも、ある酒蔵の清酒人気が高まり、供給が追い付かない場合など、他の酒蔵から清酒を買って(俗に桶買いなどと言います)醸造アルコール等で味を調整して自社ブランドのお酒として売られることもあります。地元では著名で美味しく飲めたのに、同じ銘柄を東京で買ったら味が違う‥というのはよくある話です。
日本酒の品評会に出される清酒の7割以上の銘柄に醸造アルコールが添加されていたりします。
混成酒・リキュールを受け付けない人がいる
現在、清酒には「本醸造酒」「特別本醸造酒」「吟醸酒」「大吟醸酒」「純米吟醸酒」「純米大吟醸酒」「純米酒」「特別純米酒」など色々とありますが、「純米」と書かれている以外の清酒には皆 醸造アルコールが添加されています。
そして、ウィスキーやワインなど他のお酒は平気で飲めるのに、甲類焼酎やラム酒、醸造アルコールが添加された清酒を受け付けない人が一定数います。少し飲んだだけで頭痛や吐き気を伴い、急性アルコール中毒に似た症状に見舞われます。共通しているのが、廃糖蜜を原料に作られた醸造アルコールです。
私がそうなのですが、混成酒・リキュールと書かれている酒類でも「ウォッカ」が原料なら飲めます。しかし、日本の法律では甲類焼酎や醸造アルコールとされる高濃度の蒸留酒は、原材料を表記なくても良い事になっているので、混成酒やリキュールで原材料を見極めるのは困難なのが実情です。親切な酒類には「ウォッカ」と書いてますが、不親切な酒類の場合は大概「スピリッツ」と書いてます。私はこれは避けます。
日本酒(清酒)には大人の事情が絡んでる
これまた私がそうだったので書くのですが、日本酒が苦手だと思ってた人、甲類焼酎が飲めない人、ラム酒が苦手な人、居酒屋のサワーが飲めない人、醸造アルコールを避けてお酒を楽しんでみてください。
私は、調子が良ければウィスキーやブランデーならボトル1本飲んでしまうことがありますが、甲類焼酎や醸造アルコールが添加された清酒は一口、二口で頭痛が始まります。
本来なら混成酒として売るべきものを、歴史的背景もありますが、清酒として売られている大人の事情があるのです。そして清酒=日本酒として一般に扱われるのを好む大人の事情もあるのです。
そんな大人の事情に絡んだお酒の話も紹介します。
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