こんにちは。日本の食べ物としきたりを愛するオコシです。
今回は、来週2月3日(水)に迫る節分と、その食べ物にまつわるお話をお送りします。?
目次
豆といわしで厄をはらう古き良き風習
節分のならわしと言えば、豆まきですね。
家の戸を開け、「鬼は外」「福は内」と唱えながら、家の内と外に豆をまきます。終わったら、福が逃げないよう、急いで戸を締めます。
豆まきの後は、自分の年齢と同じ数の豆を食べます。豆にお湯を注いで福茶にして飲んでもよいそうです。
また、焼いたいわしの頭を、鬼が近づけないよう、ひいらぎの枝に刺して玄関の外に飾ります。
地方により独特の風習はあるようですが、基本はこんなところ。豆といわしがポイントです。
なぜ節分に豆をまく??
「おうちで楽しむ季節の行事と日本のしきたり(マイナビ)」によれば、「まめ」は「魔目」「魔滅」に通じると言います。
豆は鬼を滅する武器であると同時に、「魔目」でもあるわけで、鬼そのものだとも考えられています。
「鬼は外」と豆を家の外に投げるのは、家の外にいる鬼を攻撃するだけでなく、魔目を家から遠ざける、という意味もあるようです。
煎った大豆を使うのはなぜ?
では、なぜ大豆なのか?
小豆やインゲン豆、なんなら落花生ではダメなのか?
説は色々あるようで、かつては黒豆や米、麦などを使う地方もあったのだとか。
まあ、豆と言えば大豆、ということでよいのではないでしょうか。
2014年の収穫量を見てみると、以下の通りになっています。
大豆:22万5600t
小豆:7万6800t
インゲン:2万500t
落花生:1万6100t
平成26年産大豆、小豆、いんげん及びらっかせい(乾燥子実)の収穫量(農林水産省)より
大豆が圧倒的ですね。
それに、インゲンはサヤから豆を出して投げるのが大変ですし、小豆や落花生は値段が高い。
大豆がちょうどいいんです。
では、大豆をわざわざ煎るのはなぜか?
こちらも明確な根拠を述べるのは難しいのですが、
節分の豆から芽が出ると災いにつながる
と考えられているそうです。豆を煎ってしまえば、芽が出ることはありませんからね。
こんなお話もあります。
昔々、鬼が人里にやってきて、民家の娘を嫁にしようとしたそうな。
あわてた娘の父親は節分豆を鬼に渡し、豆から芽が出たら嫁がせる、と約束しました。
鬼は豆を持ち帰って大切に育てましたが、とうとう芽が出ることはありませんでした。
このことから、節分豆の芽が出ないように焼き目が付くまで煎るようになった、というお話もあります(生活文化歳事史第Ⅱ巻より)。
年の数だけ豆を食べる理由
その前に、そもそも「節分とは何か?」をおさらいしましょう。
節分とは、季節が移り変わる節目という意味で、現代では特に立春の前日です。
現代の暦では、節分は2月3日(まれに2月2日や4日になる)ですが、月の満ち欠けを基準にした昔の暦では、正月の近くに当たりました。江戸時代以前、節分は新年を迎えるイベントでもあったのです。
豆を年の数だけ食べると、1年を健康に過ごせると言われています。年の数+1個食べることもありますが、それは数え年の分ということです。
いわしと柊、その由来は?
前述の通り、節分には、焼いたいわしの頭をひいらぎの枝に刺して、家の前に飾ります。
豆まきとともに、よく知られた風習です。
焼いたいわしを飾る理由は、ずばり「におい」です。アジやマグロと比べて、いわしはにおいが強いですよね。
鬼は、焼いたいわしのにおいが苦手なんだそうです。戸口に置いておけば、鬼が家に入ってこられません。この、いわしとひいらぎのオブジェは「やいかがし(焼嗅)」と呼びます。
柊を使うのは、トゲが鬼の目を刺す、と言われているから。においとトゲトゲのダブル攻撃で鬼を撃退するというわけです。
ちなみに、東京のスーパーで、豆の枝が付いた節分飾りのひいらぎを見かけました。これは、東京都世田谷区の風習だそうで、いわしを豆に刺し、つばをかけて火であぶり、柊の葉を添えて戸口に飾るそうです。
節分には恵方巻も。2016年は南南東
さて、節分の食べ物といえば、恵方巻き。
関西ではよく知られる風習のようですが、ぼくは関東生まれなので、大人になるまで存在すら知りませんでした。いまや全国を席巻していますね。
節分の日の夜に、その年の「恵方」を向いて、無言で巻き寿司を1本食べると、福があると言います。恵方とは、その年の幸せを司る神様(歳徳神)がいる方角で、2016年は南南東です。
参考文献
生活文化歳事史(東京書籍)
おうちで楽しむ季節の行事と日本のしきたり(マイナビ)
知っておきたい日本の年中行事事典(吉川弘文館)
三省堂年中行事事典(三省堂)
おいしい豆といわしを食べたい!!
さて、ここまで読み進めてくださった皆さん。こむずかしい話におつきあいいただき、ありがとうございます。
縁起物の豆といわしは、おいしくいただきたいですよね。そこで、買い出しでかけ、全国の豆&いわしグルメを探してきました。
まずは築地場外市場へ
東京で食材探しと言えば、まずはここでしょう。
東京都中央区の築地場外市場。
国内、国外からの観光客がスゴイですね。時は午前9時。何はともあれ、腹ごしらえからです。
まずは、行列ができる築地井上さんのラーメンで温まり、
佃權さんのベーコンチーズ串で食べ歩き用のフードを補充し、
せっかくなので、テリー伊藤さんのご実家でもある丸武さんで厚焼き玉子をいただき、
築地に来たら、食べずには絶対帰れない丸豊さんのおにぎりでお腹いっぱいになりました。
大丈夫。豆といわしの探索もちゃんとしています。
案内所の「ぷらっと築地」さんに、「豆といわしを探しています」と相談。それぞれ、おすすめの店を教えてくれました。
豆はすぐに見つかりました。節分の豆は大豆だそうです。ただ、節分豆はすでに煎ってあるので、煮たりはできません。
いろいろできそうな生豆をいただきます。高級品の「鶴の子豆」を山本商店さんで購入しました。
この調子でいわしも楽勝で見つかるだろう、と思っていたのですが・・・・・・。
築地場外の魚屋さんは意外に少ない!?
築地と言えば魚屋さんのイメージでした。
確かに魚を取り扱うお店は多いのですが、歩いてみたところ、目に付くのは飲食店や干物など加工品の店。鮮魚も、まぐろや蟹のお店はよく見かけましたが、いわしを売っているような鮮魚全般の魚屋は、意外に少ないことに気づきました。
しかも、この日は時化で魚の入荷が少ないとか。
案内所で紹介してもらった魚屋さんに聞いても「今日、いわし、入ってない」と残念な回答の連発です。
そんな中で出会ったのが藤栄水産さん。
1kg1800円!!!?
ふだんは1kg800円くらいからだそう。魚が獲れないのですから、値段が上がるのは仕方ないですね。
よく太った、おいしそうないわしであるのは間違いありません。買いです。
これで2匹購入し、豆といわしをコンプリート。
しかし、これで焼き魚や煮豆を作っても、華がないんじゃないか? と思い始めます。そもそも、ぼくはそんなに料理が得意ではありません。
思い直したぼくは、ユニークでおいしい全国の豆といわしグルメを探す旅に出かけたのですーー。
節分の食べ物を探すアンテナショップ行脚
本当ならば、全国津々浦々をめぐり、土地のよいものを探したいところですが、東京には便利なスポットがあります。
アンテナショップです。
東京駅・銀座周辺には、全国各地のアンテナショップが集中しています。うち、38軒をまわり、豆(大豆)&いわしの逸品を探しました。
そして、旅の足はこちら! 便利な自転車シェアリングです!!
自転車シェアリングについて詳しくは「2016年エリア拡大! 東京の自転車シェアリングが超絶便利~千代田区、港区、中央区、江東区で実施中~」へ。
まずは、全国の名物が集結したアンテナショップ天国へ。
有楽町の東京交通会館です。北海道、大阪、兵庫、和歌山、秋田、富山など、14のアンテナショップが入っています。
さまざまな地域の特産品を集めたむらからまちから館さんで、秋田の青豆を発見!
500gで1296円と、なかなかのお値段ですが、試食すると味は抜群! これは買いです。
もうひとつ大豆で、銀座1丁目の茨城マルシェさんで見つけた青仁一粒(丸真食品)。80gで486円の高級納豆です!
いわしも逸品を見つけましたよ。
新橋駅前の香川・愛媛せとうち旬彩館さんで見つけた伊吹島(香川県)のオイルサーディン。
日本橋三越前の三重テラスさんで、山藤の焼き干物ウルメイワシを発見! 頭から骨まで、そのまま食べられます。
おいでませ山口館さんのいわし唐揚げちぎり。人気ランキング2位といううたい文句にやられました。
出雲では節分にそばを食べる
東京生まれ東京育ちのオコシには、節分の食べ物といえば豆といわし。恵方巻きも、いまだに何のことやらよくわかりません。
しかし、全国にはいろいろな風習があるもので、にほんばし島根館さんで見つけたのがこちら。
節分そばです。出雲地方では、節分にそばを食べる習慣があるのだとか。「出雲そば」は有名なご当地そばです。
せっかくなので、こちらもいただくことにしましょう。
大豆、いわし、そばで節分ディナー!
さて、買い出しした食材を使って、ひとり節分ディナーを楽しみます! ?
築地で買ったいわしを焼いて、豆を簡単に調理。後は、買ってきた食材を盛りつけるだけ。
完成したのがこちらです!!
ヘルシーかつゴージャスな節分御膳8品。
苦労して見つけたいわしを焼き魚に。
予想通り、脂がたっぷり乗っています。頭は柊に刺して飾りましょう。
大豆はジャコと一緒に電子レンジで加熱。ダシ醤油をかけるだけで、オツなおつまみになります。
青豆は期待を裏切らぬうまさ。
水で戻してさっとゆで、塩をふっただけです。
伊吹島のオイルサーディン。
きめ細かく柔らかい身。苦みやえぐみがなく、いわしのいいところだけいただいている感じ。
そのまま食べられる三重のうるめいわし。
いわしのうまみがギュッと凝縮。ちょっと塩気が強いので、ご飯のお供にも◎。
山口のいわし唐揚げちぎり。
甘めの味付けです。煮込んでもおいしそう。
注目の高級納豆・青仁一粒は・・・・・・
一粒1.2~1.5cmの大粒納豆。ねっとりもっちりの食感は新しい体験。期待を上回る美味しさです。
節分そばもいただきます。
黒いですね! そば殻ごと挽いているという出雲そば。歯ごたえがしっかりしていて、香りも高い!
これは、日本酒がほしくなります。お供はもちろん
鬼ころし!
完