知人のラーメン屋がカレーグランプリなるものに出た。
土地がら大学が多いせいか何故かは分からないがカレー屋が多い街、神田。その数は400店舗以上。
その彼の店がカレーグランプリに出ると聞いたときは一瞬おどろいたが前からマスターの味を忠実に復活させたいと言っていたからすぐに納得した。ただ、昔のカレーを復活させたところで現代のカレー屋がひしめき合う神田のカレーグランプリに出ても参加する勇気は認めるが予選は通らないだろうと思っていた。応援してくれと連絡がきたが自分のポリシー的に美味しくないモノを美味しいとは言えない。それは昔からの友人に対してもだ。逆にあまり好きではない人だって美味いものを作れば美味しいと言ってきた。だから忙しくて食べに行けなかったので僕は遠くで見ているしかなかった。
そしてこの前、時間が出来たのでそのカレーを食べに行ってきた。自分の事ながらカレーは結構なお店を食べたと思う。もともと好きで行ってたのもあるし、店でカレーをメニューにするために他店のカレーをあちらこちら行った。だからカレーには少し舌がある。
こちらがそのカレーだ。
見た目は特に見栄えはない。まぁ騒がしい見た目のカレーはだいたいが美味しくないので逆に期待値はあがる。
よくよく見るとルーには野菜が溶け込んでいるのが分かる。
ジャガイモとニンジンが つつましやかに存在している。『ゴロゴロ』とは居ない 『ころころ』とだ。
ひとくち口に入れてみる。味の入り口 は何もないカレー。いや、スパイスや香りがない分本当になんも感じないが一口噛むとそのネットリ感が 舌をぐるぐるっと包みこみ一瞬でカレーの世界へ連れて行かれる。
少しスパイシーな感覚のあとに`もってり`とした 、このカレーの1番の特徴が ゆっくりゆっくりと脳に浸透していく。
この一口を飲み込んでどのくらいだろう?2分は 旨さにひたっていただろうか。サクサクと次の一口には行けない。じわっーと 旨みで全身をふるえさせてくれる、そんなカレー。
ご飯も特別大したことない普通のご飯。だがそれで良い。ご飯が主役で目立ってはいけない。ご飯とカレーをスプーンに乗せて食べるその一口が カレーライスなのだ。ご飯が目立ってはいけない。
皿の上でカチャカチャと小さなカレーライスをスプーンの上で作って、その小さなカレーライスを旨さの余韻がひいた口へ運ぶ。
カレーとライスの割合を一口、一口変えながら楽しむのもこの食べ物の良いところである。
うまい。と確実に言える。
なんだろう、この旨さは。気になって店員を呼ぼうと思ったらテーブルの隅にこんなものがあった。
なるほど。やはり原点はラーメンスープなのか。
カレーのスパイスで昆布やカツオなどの魚介系の匂いは消えてしまっているが、逆にこれがここまでの旨味だけを後味に残す形になっているのかもしれない。
気がついたら完食していた。完全に思考は旨味が脳を占領し余計なことを考える余地がなかった。いつもなら行儀が悪いが食事の後半は携帯電話をイジりながら食べることが多いがそれはなかった。
決勝は11月5日(土)と6日(日)の二日間。場所は小川広場。果たして彼らの味はどこまで食い込むか楽しみでならない。
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