駒込は初夢縁起物の地だった?「一富士 二鷹 三茄子」とは

駒込は初夢縁起物の地だった?「一富士 二鷹 三茄子」とは

?「駒込は一富士 二鷹 三茄子」

この句は江戸時代の川柳の句集で中期から幕末にかけて全167編が出版された「俳風柳多留(はいふうやなぎだる)」の第33編(1806年出版)に記載されています。(※出典に関して他にも諸説あるといわれている)

下の写真はこの「俳風柳多留」を第45編まで記載して、1913年に国民文庫刊行会が出した「川柳集」とゆう本にある「駒込は一富士 二鷹 三茄子」です。(富士は「不二」と記されている)

2017-01-27 05.28.09 (640x360)※「川柳集」(1913年・国民文庫刊行会)595頁。国立国会図書館デジタルコレクションより転載

「一富士 二鷹 三茄子」と言えば初夢で見ると良いとされる縁起物20170112_102135 (640x360)

ところで一富士 二鷹 三茄子」は聞いたことあるけれど、冒頭の川柳には「駒込は」とありました。ではなぜ「駒込」「一富士 二鷹 三茄子」なのでしょうか?

■「一富士 二鷹 三茄子」の由来は駒込? 富士山はどこだ?

東京都文京区駒込と言えば大名庭園である「六義園」がある場所で知られていますが、その近くに駒込富士神社が鎮座しています。

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そう、「一富士」の富士山とはこの神社にある富士塚のことなんです!!

富士塚とは富士山を模した塚で、富士山信仰の集団「富士講」が流行るとともに各地で造営、

江戸から遠い富士山へなかなか行けない人々は、この富士塚を登拝して富士山に登った時と同じご利益を賜ったと言います。

↓静かな境内には高さ約6mほどの大きな富士塚がある↓

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↓山頂にある拝殿↓

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↓江戸時代後期の地誌「江戸名所図会」にもしっかり描かれている↓

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※「江戸名所図会 第3巻」 (1927年・斎藤幸雄 著 有朋堂書店出版) 298頁。国立国会図書館デジタルコレクションより転載

社伝によると、1356年から1361年頃には現在地に富士塚と呼ばれる大きな塚があったといわれているそうです。一説には前方後円墳ともいわれています。

↓富士塚の裏側↓

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たしかに幅もあり前方後円墳といわれれば、そうなのかと思ってしまいそうですね。

■鷹はどこだ?

空を見上げれば、ほらあそこに!! なんてことはありませんね。。。

「二鷹」の鷹とは、江戸時代中・後期にあった鷹匠屋敷(御鷹匠同心組屋敷)を表しているんです。

鷹匠とは鷹の飼育・調教などを行う人のことで、ここでは徳川将軍が鷹狩りを行う際に使う鷹を扱っていました。

↓現在、鷹匠屋敷跡には都立駒込病院が建っています↓

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発掘調査では、鷹の餌や調教に使用したと思われる動物の骨が出土しているそうです。

また都立駒込病院近くにある天祖神社には鷹匠組が寄進した石柱があり、当時この地に鷹匠がいたことを偲ばせる物となっています。

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■茄子はどこだ?

「三茄子」の茄子とは、駒込富士神社の裏一帯の畑でとれた富士裏の茄子のことで、とても良質な茄子だったといいます。

江戸時代後期に幕府が編纂した武蔵国の地誌「新編武蔵風土記稿」には「茄子土地によろしきをもって 世にも駒込茄子と称す」と記載されていて、その名が知られていたことが伺えます。

↓「新編武蔵風土記稿」の記述↓

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※「新編武蔵風土記稿 巻之19 豊島郡之11 岩渕領・上駒込村」(1884年・内務省地理局刊行) 国立国会図書館デジタルコレクションより転載

また同じく江戸時代後期に浮世絵師・歌川国芳が「江戸じまん名物くらべ こま込のなす」を描いていて、「駒込茄子」が名産品としていかに有名だったかを伝えています。

しかし残念ながら現在は周辺の宅地化に伴い、栽培はされていないそうです。

↓駒込富士神社の境内に説明板があるのみ↓

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良質な出来の「駒込茄子」は江戸の庶民に好まれたそうです。

さて、いかがでしたか? 「一富士 二鷹 三茄子」「駒込」を由来としたものだったとゆうのは?

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江戸の昔、富士塚鷹匠屋敷駒込茄子と見事に揃った「駒込」の地は、初夢の縁起物を求めて人々で賑わったパワースポットだったのかもしれませんね。

※由来に関して他にも「徳川家康が富士山・鷹狩り・初物の茄子を好んだ」など諸説あります。

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