超マイナー格闘技「グラップリング」とは

こんにちは、「戦う青色申告者」こと澤田真一です。

私が3分休憩デビューで手がけた『国際人・徳川家康』は、以前から書いてみたいと思っていたテーマでした。

歴史の再評価作業は今、かなり早いペースで進んでいます。たとえば31歳の私が小学生の頃は、江戸時代は「幕府が民を虐げていた265年」というような学校の教え方でした。それが故・杉浦日向子先生や石川英輔先生といった江戸時代研究家の尽力により、「政治史の視点では見えない豊かな江戸時代」という見方が少しずつ開拓されました。

徳川家康の再評価も、そうしたことをきっかけに進められています。澤田真一はこれからも、こんな感じの「偉人再評価」について書いていきたいと考えています。

さて、今回はそれとはまったく関係のないテーマについて。

グラップリングって何だ!?

私は文筆業を生業とする傍ら、「グラップリング」の選手として活動しています。

グラップリング。はっきり言って、超マイナー競技です。スカッシュとかラクロスとかボルダリングのほうが、まだ知名度があります。

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写真右が「明日入稿予定の原稿、いつ書こうかな」と悩む筆者。

グラップリングとは、一言で言えば「打撃禁止の格闘技」です。パンチやキックは一切厳禁、代わりに関節技で勝負を決めるというもの。

「それって柔道じゃないの?」

よくそう聞かれるのですが、柔道やサンボのようにジャケットを着る競技ではありません。上はTシャツかラッシュガード、下は短パン姿で戦います。

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写真右がすでにヘトヘトな筆者。

そしてレスリングのようなフォール(両肩をマットにつけると負け)がなく、あらゆる角度からひたすら関節技を狙います。

「それってプロレスみたいな感じ?」

そういう質問も多いのですが、う〜ん……正直ガッカリきちゃうんですよ、そう聞かれると。

だって、プロレスは競技じゃないですから。いや、プロレスを非難してるわけじゃないですよ。あれはフィジカルエリート同士が繰り広げる、命がけの格闘ショーなんです。普通の人がやったら死んじゃうような非現実的な大技を、鍛え抜かれたレスラーが受け止める。それがプロレスです。ジャイアント馬場さんが言っていたように、「プロレスはプロレスラーにしかできない」のです。

一方、グラップリングは純然たる競技スポーツです。競技ということは、敢えてこういう言い方をしますが「フィジカルエリートでなくてもできる」ということです。イチローや田中マーくんレベルの人間でなければ野球はできない、というわけじゃないでしょ? グラップリングも同じで、プレイヤーが190センチ120キロの筋肉ムキムキ大男である必要はないわけです。

初期費用のいらないお手軽競技

グラップリングは、歴史の浅い競技です。そもそも「グラップリング」という名称ができたのはほんの10年ほど前。それ以前にも「コンバットレスリング」とか「キャッチレスリング」とかの名称はあったのですが、これらは大会主催者が考えた固有名詞。「ジャケットを着ない関節技オンリーの格闘技」を指す普通名詞としての競技名は、実は最近までなかったのです。

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そしてこのグラップリング、はっきり言っちゃいますが、日本で競技として一般普及する目処が立っていません。こんなことを言うと怒る人もいるのですが、事実だから仕方ないのです。

現に競技人口なんてたかが知れてますし、プロの格闘家も「グラップリングは打撃ありの総合格闘技を引退した選手がやるもの」という意識でグラップリングに接してきたので、自身の全盛期をこの競技に捧げるという選手が極端に少ないわけです。

ですが競技としては非常に手軽で、用具が一切いりません。先述のように格好はTシャツと短パン、そして裸足でプレイします。レスリングシューズを履く選手も稀にいますが、そうすると足関節技を取られやすくなるのです。

人数さえ揃えば、町の体育館を借りて初期費用ゼロで始められる競技。こんなスポーツも珍しいのではないでしょうか。

だから案外、自分の地元の体育館にグラップリングサークルが来てたりもするんですよ。

インドネシアのグラップリング事情

澤田は仕事の関係で、よくインドネシアに渡航します。

実はインドネシアは、グラッリング選手にとっては日本以上に競技環境が整っている国。何しろ、大会の規模がまるで違う! 日本では「全国選手権」と名のついた大会でも公営の体育館でひっそりやるのですが、インドネシアではショッピングモールの1階フロアを貸し切ってバトルします。

そして嬉しいことに、インドネシアの大会は大企業がスポンサーについていて、上位入賞者には賞金が出ます。この国はこうしたバブリーな面があり、それがあらゆるアマチュアスポーツを支えています。

インドネシアのグラップリング普及に尽力しているのは、格闘家のマックス・メティーノ選手。澤田の師匠でもあります。この人物がいたからこそ、インドネシアのグラップリング界は環境面で日本を凌駕することができました。

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写真左がマックス・メティーノ選手。右が自慢気な筆者。

スター選手も生まれています。たとえば、軽量級戦線で活躍するヴィンセント・マルティンはインドネシア・マット界のアイドル的存在。日本に連れて来ても絶対にモテそうなほどの優男ですが、こいつがまた強いの何の。脱ぐと身体はバキバキ(←格闘技用語。贅肉のない筋肉美の意)です。

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マット界のアイドル、ヴィンセント・マルティン。

グラップリングの第一人者マックス選手は最近、現地のメディアに頻繁に出演しています。映画やバラエティ番組にも登場していますし、その上マックス選手はジャカルタ特別州のバスキ・プルナマ知事の従弟だったりもします。

凄すぎるぞインドネシアのマット界!

すいません、調子に乗りすぎました

何だか、長い記事になってしまいました。この記事、3分で読み切れるかな?

まあ、今回は澤田真一のライフワークになっている競技の紹介をさせて頂いたのですが、だからといって澤田は決して強い選手というわけではないです。むしろ、黒星のほうが多い三流選手なんですよ。

澤田より何百倍も強い選手は、もちろん存在します。機会があれば、これらの選手の紹介記事も書いていきたいなぁ……なんて考えてるわけです。

それじゃあ、今回はこの辺で。